Information俳句のぼり(2月)完成しました!(岡山大学俳句研究部)

岡山大学俳句研究部より、2月の俳句が届きました。
今月の句は「長閑さやキーホルダーの裏返る」です。

俳句のぼり

解説

誰でも1つや2つは持っているキーホルダー。最近のものは、立体感があったり、平板のもの、姿・形、その材質も、そして用途も様々である。筆者も、旅先で、つい、旅の記念に買い求めることがあるが、その多くは使われることもなく、抽斗の中に眠ったままだ。

掲句に登場するキーホルダーは「裏返る」と表現されているので、きっと表と裏の模様や絵柄の違うキーホルダーなんだろう。
キーホルダーの起源は、19世紀のヨーロッパで、近代化に伴い増加した複数の鍵を管理・識別する為に鉄製の「キーリング」が作られたことが始まりと言われているが、現在では、当初の頃の実用性に、装飾性やファッション性が加わり、ノベルティーや文化的なアイテムとして普及するようになっているので、掲句のキーホルダーも、鞄に取り付けられた現代のおしゃれで、作者自慢のキーホールダーなんだろうと想像する。

筆者にも同様の経験がある。お気に入りのヱンブレムの付いたキーホルダーを鞄に自慢げに付けていた時のこと。キーホルダーを取り付けてある鎖や紐の捩れによって、見せたい側が直ぐに裏返ってしまうという歯がゆさを経験したことがあった。
きっと、作者もそんな場面に遭遇したのであろう。
普通なら、裏返ることに苛立ち、不快感に繋がって行ったに違いないが、この日はその不快感を吹き飛ばすような気持ちの良い長閑な日和で、ただ外に出て歩いているだけで、気持ちが豊かになるような陽気だったのだ。

掲句の選者は
「この句、大好きです!!長閑で春のあたたかい日差しを感じました。キーホルダーが裏返っていることなんて、言ってしまえばどうでもいいことのように思いますが、この長閑という季語とよく合っています。ひっくり返っているキーホルダーを直したのか、そのままにしているのか気になりました。」
と語ってくれた。

もう一人の選者からは、
「通学かばんにキーホルダーをつけたお茶目な女学生を思い浮かべました。滑稽かつ素朴な景を切り取っており、ゆったりした気分や裏返ったキーホルダーから反射したのどかな光も見えてきて趣深いと思います。」
という感想が届けられた。

一方、作者は、
「表を意識してつけてもすぐに裏返るキーホルダーに、滑稽さや愛着を感じているという景を詠みました。春の陽気に包まれて心に余裕が生まれたからこそ、裏返ったキーホルダーに対しても温かい気持ちでいられるという作中主体の様子を「長閑」から感じていただけたら嬉しいです。」
と作句の背景を語ってくれている。

掲句は、作者の弁にもあるとおり、心の動きには一切触れず、のどかな春の日和とキーホルダーが裏返ったという些細なできごとだけを取り上げて、作者の心象風景を見事に描き出すことのできた作品であると同時に、作者の意図と、選者の選句眼が、一本の糸でつながり、共鳴し合うことに至った佳句である。

岡山大学俳句研究部 過去の作品

俳句のぼり 1月
俳句のぼり 12月
俳句のぼり 11月
俳句のぼり 10月
俳句のぼり 9月
俳句のぼり 8月
俳句のぼり 7月
俳句のぼり 6月
俳句のぼり 5月
俳句のぼり 4月
俳句のぼり 3月
俳句のぼり 2月
俳句のぼり 1月
俳句のぼり 12月
俳句のぼり 11月
俳句のぼり 10月
俳句のぼり 9月
俳句のぼり 8月
俳句のぼり 7月
俳句のぼり 6月
俳句のぼり 5月
俳句のぼり 4月
俳句のぼり 3月
俳句のぼり 2月
俳句のぼり 1月
俳句のぼり 12月
俳句のぼり 11月
俳句のぼり 10月
俳句のぼり 9月
俳句のぼり 8月
俳句のぼり 7月
俳句のぼり 6月
俳句のぼり 5月
俳句のぼり 4月
俳句のぼり 3月
俳句のぼり 2月
俳句のぼり 1月
俳句のぼり 12月
俳句のぼり 11月
俳句のぼり 10月
俳句のぼり 9月
俳句のぼり 8月
俳句のぼり 7月
俳句のぼり 6月
俳句のぼり 5月
俳句のぼり 4月
俳句のぼり 3月
俳句のぼり 2月
俳句のぼり 1月
俳句のぼり 12月
俳句のぼり 11月
俳句のぼり 10月
俳句のぼり 9月
俳句のぼり 8月
俳句のぼり 7月
俳句のぼり 6月
俳句のぼり 5月
俳句のぼり 4月
俳句のぼり 3月
俳句のぼり 2月
俳句のぼり 1月
俳句のぼり 12月
俳句のぼり 11月
俳句のぼり 10月
俳句のぼり 9月
俳句のぼり 8月
俳句のぼり 7月
俳句のぼり 6月
俳句のぼり 5月
俳句のぼり 4月
俳句のぼり 3月
俳句のぼり 2月
俳句のぼり 1月
俳句のぼり 12月
俳句のぼり 11月
俳句のぼり 10月
俳句のぼり 9月
俳句のぼり 8月
俳句のぼり 7月
俳句のぼり 6月
俳句のぼり 5月
俳句のぼり 4月
俳句のぼり 3月
岡山大学俳句研究部 応援のきっかけ