岡山大学俳句研究部より、4月の俳句が届きました。
今月の句は「如雨露より太く出したる春の水」です。

俳句のぼり

解説

上五の「如雨露」の由来は、一説に、ポルトガル語のjorroであるとされているが、読みは「じょうろ」なので、葉っぱに雨が降りゆく様を髣髴とさせてくれるようで耳障りが良く、漢字の表記と読みとの間に絶妙のバランスがあって興味深い。

掲句の季語は、下五の「春の水」で、冬涸れの後、雪解けや雨で水量が増した渓谷や河川、湖沼などがまぶしさや豊かさをたたえているとの意です。

作者は、「じょうろから出る水の勢いや、春の景色を映した水の色に、春の訪れを感じました。」と作句のきっかけについて触れていますが、如雨露から流れ出る水に、季語の本意を感じ取り、咄嗟に一句を認めた点は、誠にあっぱれです。

そして、作者は、水の生命力を強調したかったのでしょうか、下五の「春の水」を中七で「太く出したる」と形容しています。ここで注目すべきは、「出たる」ではなくて「出たる」と能動的な表現をしている点です。能動的に表現することで、作者が「春」に肯定的に向き合おうとする姿勢が一層強く感じられると共に、如雨露より迸り出る水の力強さまで感じ取ることができるようになるのです。

句の選者は、「「太く出す」という表現から、生命力にあふれる春の色をした水のうつくしさが、立体的に感ぜられる句だと思います。春という季節の明るさ、鮮やかさを象徴する景だと感じました。同時に、土の匂うような力強さも伝わってくるようです。」と感想を漏らしてくれています。季語の本意を見事に汲み取った、まさに正鵠を得た鑑賞です。

勢いよく放たれる水に、作者自らの春に対する前向きな気持ちを託すと同時に、水の表面に、周辺の春の息吹まで想起させてくれる掲句は、「如雨露」をモチーフとする俳句に、これまでにない世界を創り出してくれてとても新鮮です。

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