岡山大学俳句研究部より、6月の俳句が届きました。
今月の句は「ぱりぱりとめくる朝刊百日紅」です。   俳句のぼり6月

作者コメント

休日の朝、窓のそばで新聞を読んでいました。朝の時間をゆっくり過ごすことのできるうれしさや、朝の気持ちよさが、百日紅の明るさとマッチするように感じられました。

解説

新聞をめくる時のあの小気味良い音と仄としたインクの匂い、どんな記事が掲載されているのだろうかと、ページを捲りながら胸躍らせる瞬間。そして、辺りにはコーヒーの芳しい香が…・・・。朝刊に目を通しながら、ご満悦の作者の表情までもが浮かんでくるようです。

作者にとって、まさに贅沢な至福の時間。

掲句の季語は「百日紅(さるすべり)」で、季節は夏。その字の通り、「7月ころから9月ころまでの長期間咲き、小さなちりめん状の花弁の花が枝の先端に群がり咲いて、辺り一面華やいでみえる」と辞書にあります。

この句の鍵を握るのは、オノマトペ「ぱりぱり」。
擬音語を効果的に使うのは、簡単なことではないですが、掲句では、「ぱりぱり」を上五に置くことによって、新聞を捲る時の音も然ることながら、気持ち良い朝を迎えて幸福感に浸っている作者の心の軽やかさまでをも感じ取ることができます。

句の中で作者の行動を表すものは、「めくる朝刊」たった5文字だけですが、上五の「ぱりぱりと」と下五に置かれた季語「百日紅」の斡旋の妙とが相俟って、新聞を捲ると言う単純な行為が、作者の心模様までをも描き出すゴージャスな映画の1シーンへと変貌を遂げたかのようでもあり実に楽しく感じます。

話は飛躍するが、これからは、AIやロボットの登場で、人間の為すべきことの多くが失われ、弥が上にも人生に空白の時間が生まれていく時代に突入していきます。こんな時こそ、作者の様に、日常の小さなことにも喜びを求めることのできる心の豊かさが必要になってくるのではないでしょうか。
そんなことにまで思いを至らせてくれた、佳句です。

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