岡山大学俳句研究部より、1月の俳句が届きました。
今月の句は「酒瓶の向きの整ふ惠方かな」です。  

作者コメント

酒瓶は、個性がラベルに表れている。まるで人の個性のように様々であるが、恵方に向きが整うことで、妙に一体感がある「幸福感」が漂う。

解説

酒に因んだ季語は、数多い。酒は人間の生活と切っても切れない関係にあることも、その一因でしょう。
寒さの堪えるこの季節には、何と言っても「熱燗」が一番ですが、最近は、フルーティーで冷でも飲みやすい酒が出回るようになり、熱燗を飲む機会が減ってきつつあるのも事実。

作者評には、ラベルに個性が滲み出ていると書かれていますが、正にその通りで、ラベルの紙質から字体、色柄に至るまで、実に個性的なものが多く、恰も、酒が自己表現をしているかに感じられ呑み手を愉しませてくれます。

倉敷の或る酒蔵では、近所の人たちが総出で、ラベル貼りを手伝ってくれるそうで、時には、手仕事ゆえに不揃いのこともあるそうですが、それはそれで、また味があります。片や、掲句では、ラベルが一斉に恵方に向いて揃うというのだから、何とも気持ちが良い。「恵方」は新年の季語で、年神が来訪するめでたい道のことを表していて、縁起の良い言葉です。

今年こそ、それぞれの立場で、コロナ禍を乗り越え、周囲の人たちと心をひとつにして一体感を持って取り組もう!という決意を促してくれるようで、年明けに相応しく、心引き締まる句です。

岡山大学俳句研究部 過去の作品

 
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