岡山大学俳句研究部より、2月の俳句が届きました。
今月の句は「合唱に手話春きざすおゆうぎ会」です。
解説
何とも心温まる早春に相応しい句である。措辞の斡旋も巧み、平易な言葉のつながりとひらがなの持つ独特のぬくもりが句全体を包み込むようだ。
掲句の季語は「春きざす」で季節は初春、丁度、今頃の季節で二月いっぱいくらいを示す。
作句のヒントは、作者が幼稚園年長の時に、「ありがとうの花」という曲を手話を混ぜて歌った時の場面を思い出したことだったそうだが、小学校に進学する前の同い年の幼稚園児の所作もしっかり観察していて、同じことをするにも、元気いっぱいにやっている子、ゆっくり丁寧にやっている子など、そのやり方もそれぞれ違っていることに気付いたこと、そんな中で、表現方法こそ違え、もうすぐ小学生になる希望に満ち満ちた気持を精一杯表現しようとしていた園児達共通の表情や態度を作者が発見したことにあったようだ。
作者の弁を借りると「その時の幼稚園児達の温かみと期待感に満ちた情景を表現したい思って詠みました。」とある。
一方、掲句の選者は、「おゆうぎ会という表記から、年少な人々が出演しているものなのだろうと想像されるのですが、彼らのちいさな桃色の手のひらが、手話をたどたどしくなぞるさまが「春きざす」という季語にぴったりで、とてもしっくりした一句だと思いました。」との感想を寄せてくれているが、作者は、その感想を受け取って、「作句の状況を細かく想像していただけたことがとても嬉しかったです。」と語ってくれた。
おゆうぎ会という懐かしい言葉から、私にも半世紀以上前のおゆうぎ会の記憶が蘇ってきた。今でも覚えているのは、こぶとり爺さんという短い劇でこぶとり爺さんを演じた時のこと。母が、作ってくれた耳から下げる瘤をぶら下げて、恥ずかしがりながら演じた記憶は今でも鮮明に残っている。
掲句については、選者の感想にも述べられている通り、状況もわかりやすく特段の解説を必要としない。柔らかいもみじのような掌を開いたり閉じたりしながら、真剣な眼差して手話を演じる園児たちが手に取るように浮かんできて、思わずほくそ笑んでしまうほど。季語の「春きざす」と園児たちの動きが共鳴し合い、この時期ピッタリの佳句である。
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