岡山大学俳句研究部より、2月の俳句が届きました。
今月の句は「凍星をつなぐかにしりとりの帰途」です。
解説
冬の夜空には、凍てつくように数多の星たちが輝いている。クリスタルのようなきらめきを見せてくれる星々の透明感は、この季節ならではのもので、夏の夜空に潤んだように浮かぶ星々とは対照的だ。
空気が乾ききっている所為で、見上げた瞬間に見えなかった星たちも、目が慣れてくるに従って、次々と近づき、星が星を呼んで、追いかけていく内に、星座との出逢いまで実現することになるのだ。
そんな心弾む家路での体験を、掲句は、しりとりになぞらえて詠んでくれた。
上10文字、下7文字という破調のリズムも、まるで北斗七星をなぞらえるかのように琴線に響いてくるようだ。
天上の星々に向かって、作者が、歌を唄いながら、指揮棒を振っているシーンまで浮かんでくるようで、着想の斬新さに、思わず脱帽させられてしまった。
そう言えば、偶々、昨年暮れに、何十年振りになるだろうか…、近くにあるプラネタリウムを訪問する機会があった。
足を運ぶことになったきっかけは、地元の高校生が、一般の人たちに伝えたいとの思いで企画してくれた源平の水島合戦当時を再現しようとする興味深いバスツアーであるが、源平合戦の当日が、皆既日食だったという史実から、先ずは、ツアーの最初に合戦当時の日食をプラネタリウムで体感しようということになったのが、その経緯だ。
ショーは、源平合戦当日の再現として、昼間の皆既月食のはじまりから終わりまでの間、どのくらい暗くなったのかを実体験させてもらうところから始まって、追体験そのものも、実に興味深いものであったがであったが、偶々、訪問当日がクリスマス・イブに近いこともあって、係員の方の心遣いにより、イブの夜空を映し出して貰えるという幸運に巡り逢う事ができた。
天上のスクリーンを見詰めていると、北東には「かに座」や「大熊座」が、北北西には、「こぐま座」の北斗七星の柄杓形が、また、その近くには、「ペルセウス」、「カシオペア」のW文字、続いて「アンドロメダ」,「みずがめ座」が、東南東には、冬の代表的正座「オリオン」に、「おおいぬ座」のシリウス、更には「ふたご座」、「火星」まで次々に登場してきて、掲句の通り、宛ら、星々をつなぐしりとりゲームを体感させてくれるものとなった。
作者は作句に当たって、
「星の点々とある晴れた闇に声を響かせて、しりとりをしつつうちへ帰る。冴え冴えとした星空を見上げることの多いこの頃の実感をこめて作句しました。冬の夜の屋外で声をだすと、空と(あるいは星と)自分との距離にいっそう思いが馳せられます。」と、その動機を語ってくれている。
掲句と掲句に込められた数多ある冬の夜空の星々とのロマンチックな出逢いと感動が、偶然とは言え、筆者の貴重なプラネタリウム体験をも呼び覚ましてくれるきっかけになってくれたことに、改めて感謝したい。
岡山大学俳句研究部 過去の作品
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