岡山大学俳句研究部より、12月の俳句が届きました。
今月の句は「塩かけて秋刀魚に蒼き鱗かな」です。
作者コメント
これから秋刀魚の塩焼きをするのだろう、よく洗ったあと、塩を振りかけたらチラチラと鱗が残っていた。 蒼く輝くそれは秋刀魚の新鮮さや力強さまでも思わせる。
解説
秋刀魚は、ご存知のとおり、秋の季語。
今年は、不漁で値段も吊り上がり、口にする機会が減ってしまったが、私の好物のひとつで、生きの良いものを刺身にして生で食べるのも格別ではあるが、何と言っても、焼き魚が一番。 最近では見かけなくなった七輪に火を熾して、団扇で仰ぎながら火の加減を調整し、炎、煙に燻され涙しながら、焼き上げる行為そのものが、なんともゆかしい。これら全てを体験することが秋刀魚を焼くことであり、醍醐味なのである。
さて、掲句。焼き秋刀魚に塩は欠かせないが、塩加減がとても大切。 少し離れたところから、パラパラと満遍なく降り落としていくのがコツだ。
作者がその塩の具合を見てみると、少しばかり鱗が残っているではないか。 その蒼く輝く鱗から作者は秋刀魚の鮮度を感じ取り、きっと先刻まで、外洋を自由に泳ぎ回っていたに違いないとの確信を得たのだ。
目の前にある秋刀魚の鱗の蒼と塩の白との対比に着目しながら、外洋を泳ぎ回っていた秋刀魚の力強さまでを想起させてくれて気持ちの良い句です。
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