岡山大学俳句研究部より、11月の俳句が届きました。今月の句は
「バスタオルふわりと沈む月夜かな」です。
作者コメント
バスタオルに乗せた手や顔がふわりと沈み込む。月夜は何をとっても素晴らしく感じるが、バスタオルの気持ち良さは、また格別だろう。
解説
月は四季折々に趣があるが、そのさやけさは秋にきわまるので、単に月といえば秋の月のことを指します。ということで、掲句の季語は「月夜」で、季節は秋です。
目に見えるものは、バスタオルと月というシンプルな構成であるが、中七の「ふんわりと沈む」で、バスタオルに、手や顔を沈み込ませて、その柔らかな感覚を愉しんでいる作者の様が目に浮んできます。手や顔が沈み込むほどだから、このバスタオルはきっと毛足の長い高級品に違いありません。
肌寒く感じられる季節になってくると、手に取るもの、肌に触れるものにも、温もりを求めるようになってくるが、掲句では、その感覚を「ふわりと沈む」とシンプルに表現し、バスタオルの温かい感触に浸っている作者の「動」と、心地よい光を放つ月の「静」とを対比させることによって、バスタオルの持つ特有の感触を、際立たせることに成功した佳句です。
岡山大学俳句研究部 過去の作品
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●俳句のぼり 8月
●俳句のぼり 7月
●俳句のぼり 6月
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