岡山大学俳句研究部より、8月の俳句が届きました。今月の句は
補助輪の浮く自転車や朝曇」です。

作者コメント

補助輪が浮いていることから、補助輪をよく使っており、もうすぐ外しても良いのではないかと思われます。朝曇は、一種の希望であり、今後、補助輪無しで気持ちよく自転車を漕ぐ子の姿が想像できます。

解説

掲句の季語は、「朝曇」で、季節は夏。旱の朝曇などと言われて、昼から暑くなる日は、朝、一時的にどんより曇ることが多い。季語として定着したのは、近代以降とのことで、

・朝曇り墓前の土のうるほひぬ … 飯田 蛇笏

・甕はその重みに坐り朝曇   … 村越 化石

などの秀句があります。

掲句からは、補助輪に頼ることなく、カラカラと音を立てながらスピードを上げ、殆ど、自走しかかっている子どもの姿が浮かんできます。まだ、不安はあるが、もう直ぐ補助車なしで、走れるようになるだろうと言う希望と、必死で漕いでいる現在の不安が錯綜する心の葛藤を、「補助輪の浮く」という七文字に凝縮させたものです。

補助輪が浮いた時の乾いた音に対し、不安感を想起させる朝曇という季語の斡旋が見事。作者の力量は心憎いばかりです。

岡山大学俳句研究部 過去の作品

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