岡山大学俳句研究部より、3月の俳句が届きました。今月の句は、
「雪晴や すつと開ける パン袋 」です。
作者コメント
雪が積もり、晴れている日には、寒さだけでなく、眩しいほどの明るさを感じる。そこには、冬の清々しさが満ち満ちており、澄み切った空気が美味しく感じられるようで、とても気持ちが良い。そんな日に、小腹を満たすべく菓子パンを買ったところ、透明な包装袋が、いつになくスッと開いた。何と気分が良いことか。このような感覚が重なりあって生まれた冬の清々しい一句。
解説
私が、嘗て暮らした仙台でも、前夜にしんしんと降り続いていた雪が、翌朝止んで、雲一つない晴天を迎えたことが屡々ありました。
目を開けていられないほどの眩しさと、辺り一面に漂う清涼感は、心の澱みまで拭い去ってくれるかのようでした。
掲句の季語は、上記の様な景を髣髴とさせてくれんばかりの「雪晴」。そんな空気の澄み切った気持ちの良い日に買った菓子パンのセロファンが、いとも簡単に開いたというトリヴィアルな瞬時の現象を感覚的に切り取り、背景にある「雪晴」という大きな景と対峙させることによって生まれた透明感溢れる秀句です。
岡山大学俳句研究部 過去の作品
●俳句のぼり 2月
●俳句のぼり 1月
●俳句のぼり 12月
●俳句のぼり 11月
●俳句のぼり 10月
●俳句のぼり 9月
●俳句のぼり 8月
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●俳句のぼり 3月
●岡山大学俳句研究部 応援のきっかけ