岡山大学俳句研究部より、11月の俳句が届きました。今月の句は

爽やかや土星覗けば掴めさう」です。

作者コメント

天文台の大望遠鏡を覗いたら、土星がぼんやりと浮かんでいた。大きな土星があまりにも小さく、ポツンと人形のように佇んでいて、直ぐに手を伸ばしたくなる衝動に駆られた。「爽やか」という秋の高揚とした気分が、それを表している。

解説

掲句は、美星町で国内屈指の大望遠鏡を覗いた瞬間に誕生したもの。季語は「爽やか」で、季節はもちろん秋。

爽やかは、辞書によれば「ほどよく冷たくさっぱりしていて、気持ちの良いさま」とあり、視覚的には、「はっきり」、「明快」、「鮮やか」、という意味もこめられています。

私も中学生の頃、自宅のベランダから夜空を眺めるのが好きで、小さな望遠鏡を持ち出しては、天体の専門書を片手に、季節の星座を探していた日々の記憶が蘇ってきました。

私の場合は小さな望遠鏡なので、土星の輪が、やっと見えるほどの大きさで、掲句の様に、手に取るほどの大きさに見える筈もないが、その時の感動は、今でも脳裏に焼き付いています。

街の灯りひとつ見えない、空気の張りつめるほど澄み切った宙に浮かぶ土星が、大望遠鏡の中に浮かんだ瞬間、自分と宇宙との一体感を即座に感じ取り、その感動を爽やかに詠んだ季節感溢れる句です。

岡山大学俳句研究部 過去の作品

俳句のぼり 10月
俳句のぼり 9月
俳句のぼり 8月
俳句のぼり 7月
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俳句のぼり 4月
俳句のぼり 3月
岡山大学俳句研究部 応援のきっかけ

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