岡山大学俳句研究部より、10月の俳句が届きました。今月の句は
「神木の枝の少なき星月夜」です。
作者コメント
神社を訪ねた時、ひときわ大きい神木の虜になった。下から見上げて見る と枝が少なく幹がまっすぐに伸びていて大変美しい。その先には、星月夜が広がっており、神秘性が高まる。
解説
作者によれば、掲句は、9月初旬に、美星町で詠んだものだそう。
美星町と言えば、日本初の「光害防止条例」を施行した町として有名で、空気が澄んでいること言われています。また、吉備高原の高台には国内最大級の天文台も据え付けられています。
さて、掲句の季語は「星月夜」で、季節はもちろん秋。
「星月夜」は「ほしづくよ」とも「ほしづきよ」とも読まれ、月のない闇夜に満天の星がまるで月夜のように明るい秋の夜のことを表す季語です。
そんな透明感のある夜に、作者が仰ぎ見た神木は、ひょっとすると、樵たちが何世代にも亘って大切に育ててきた大樹かもしれません。
上枝の隙間から地上へ降り注ぐ星あかりに浸っている内に、辺りは神秘に包まれ、作者自身が神の世へと昇華してゆく神聖な間(あはい)であるように感じとれます。
岡山大学俳句研究部 過去の作品
●俳句のぼり 9月
●俳句のぼり 8月
●俳句のぼり 7月
●俳句のぼり 6月
●俳句のぼり 5月
●俳句のぼり 4月
●俳句のぼり 3月
●岡山大学俳句研究部 応援のきっかけ