2019年11月から太陽光発電の10年間の買取期間満了を迎える方が出てきます。(いわゆる「卒FIT」)前回の記事でも、卒FITプロシューマーのコラムを書いてきました。

卒FITプロシューマーの発電規模について

  卒FITプロシューマーが発電する電力量は1年間でどのくらいになるのでしょう?

 卒FITを迎える方は、2019年度で53万件。

(出典:JEPA)

1件あたりの太陽光発電システム容量を4kW程度とすると、システム容量で約2,000MWとなり、約20億kWhの電気が発電されることになります。

同様に、2023年度までで165万件が買取満了を迎えます。1件あたりの太陽光発電システム容量を4kW程度とすると、約6,500MWとなり、約65億kWhの発電量が確保できます。

EVの年間走行距離1万km、EVの電費を7km/kWhという前提をおくと、EV1台あたり1430kWh(=10,000÷7)の電力量が必要になります。太陽光発電システム3kW程度であれば、約年間3,000kWhの電気を発電します。つまり、一般家庭で発電した電気を活用し、充電することによって、EV1台分の1年間の電気量は賄うことは可能になります。

EV充電時における系統内における逼迫状況について

『日本の乗用車がすべてEVになったら電力は足りるのか?』ということに対するコメントがありました。結論から言うと、電力量としては問題がないが、供給能力としては厳しいようです。(以下 書籍より引用)

 「2016年の日本のピーク時の電力供給能力は約174GWである。このピーク電力供給の状態で、1年間=8760時間発電した場合の電力量が、日本の年間最大供給可能電力量となるが、計算すると1500TWhとなる。2016年の日本における年間電力量供給実績は800TWhであった。よって現時点でEVに充電できる年間最大電力量は差し引いて700TWhとなる。

 さて一方で、一般財団法人自動車検査登録情報協会によれば、2017年9月末における日本の乗用車(軽自動車含む)保有台数は約6200万台である。この乗用車がすべてEVになったとしたら、既存の電力インフラによって、電力の供給は可能なのだろうか。年間走行距離1万km、EVの電費を7km/kWhという前提を置くと年間87TWhが必要となる。よって、計算上十分賄いきれることがわかる。

 次に電力として賄いきれるのだろうか。日本の家庭用充電器の出力を3kW、急速充電の出力を100kW、使用比率を家庭用95%、急速充電5%とすれば、1台あたり平均充電電力は7.9kW※ということになる。※7.9kW(→3*0.95+100*0.05=7.9)

よって一斉にEVが充電したとすると、必要な電力は490GWとなる。これは日本の電力供給能力174GWの2.8倍になってしまい、賄いきれないことがわかる。」(出典:決定版 EVシフト)

 その一方で、太陽光発電を導入している各家庭で、自家消費の負荷の1つとしてEVに充電するのであれば、電力の需給調整にもあまり影響を受けることがないと考えます。

 このように、「太陽光発電システム」と「EVの普及」と「電力の需給調整」は複雑な関係がありますが、そのような複雑なロジックもソフトウェアが解決してくれることになるでしょう。

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