前回のコラムで、「卒FITプロシューマー」は是非「EVユーザー」になって欲しいと紹介しました。実は、イギリスなどでは、この各家庭に導入されたEVをアグリゲーションし、電力システムの需給調整に活用する実証実験も展開されています。

1.EVユーザーを普及させたい理由

なぜ、EVユーザーを普及させたいのか?主な理由は2つあります。
①再生可能エネルギーの電気をいつでも利用できるユーザーを増やすため
②移動時にEVを活用することによって、ガソリンの使用量が減るため

①に関しては、「食料の地産地消」とよく似ていると思います。日本の食料自給率は40%を切り、38%。日本の自然エネルギーの発電量の比率は10%前後で停滞してきましたが、2017年度において16%程度まで増加しています。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「日本のエネルギー2018」

日本全体での「エネルギーの地産地消」は難しくても、卒FITプロシューマーに関して、EVを導入することによって、自宅における「エネルギーの地産地消」は実現できると思います。

②に関して、「ガソリンの使用量が減る」というのはCO2排出量を削減するための大きな1歩です。その利用したエネルギーが再エネであれば、Comfortableですね。

普通乗用車の燃費とEVの電費を比較しても、3倍程度の経済メリットがあります。年間1万メートル走行するのであれば、約70,000円の経済メリットになるのです。自宅で発電した電気を充電するのであれば、ガソリンを購入しない分が経済メリットになります。

(電気自動車が1kmあたり走行するのに、約3円。普通乗用車で燃費1ℓ(=150円/ℓ)あたり15km走行したとすると、1kmあたり走行するのに、約10円になります。年間1万メートル走行すると、EVで10,000*3=30,000円、普通乗用車で10,000*10=100,000円。)

2.V2Gについて

EVを電力系統に連系し,車と系統との間で電力融通を行うことをV2G(Vehicle to Grid) と言います。また、EVの蓄電池を家庭の電気で利用することをV2H(Vehicle to Home)といいます。

(V2H導入事例:香川県高松市

日本では、まだEV又は自宅において蓄電した電気を逆潮することは許されていません。よって、V2Gがサービスインされるまでは、蓄電した電気を必要な時に、自宅で利用するというのが良いと考えます。

今後、電力システム改革で電気の単価も時間帯別で設定されるケースもあると思います。特に、夏場の暑い日や冬場の寒い日は、16時から20時までに電力の需要が大きくなり、電力の卸売市場価格が高騰する傾向になっています。

 EVユーザーが通勤用に車を使用しているのであれば、その時間帯に帰宅し、自宅で車を充電することになるでしょう。小売電気事業者としては、「その時間帯は避けて充電してほしいな」と考えることでしょう。その一方で、仮に満充電されたEVがあれば、「EVから電気を供給してほしいな」と考えることでしょう。

必要な時にEVから電気を供給してもらえるのであれば、EVユーザーに小売電気事業者が何か経済的なメリットを還元することも可能かと考えます。

 すでに、ヨーロッパでは実証実験をしている段階です。日本も、遅かれ早かれ、EVユーザーの束ねた蓄電機能(電力容量)を電力市場で入札し、電力の需給調整に貢献することで収益にするビジネスモデルに発展していくことになるでしょう。

 そこで、EV(V2H)を導入した卒FITプロシューマーはさらなる経済メリットも受けることができます。

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