小水力発電は、CO2など温室効果ガスを排出しないクリーンなエネルギーとして見直されています。
中でも「小水力発電」と呼ばれる出力1,000kW以下の比較的小規模なものは、小川や渓谷といった身近な流水で発電できるため、化石燃料に頼らない地域エネルギー供給の手段として、近年注目を浴びています。
小水力発電とは
戦国時代・豊臣秀吉の知恵者で2014 年の大河ドラマで一躍有名になった黒田官兵衛(黒田如水)の教えに「水五訓」というのがあります。その1つに、小水力発電をイメージさせる説明があります。
「洋々として大洋を充たし発しては蒸気となり雲となり雨となり雪と変じ霞と化して凝っては玲瓏(れいろう)たる鏡となり而も其性を失はざるは水なり」
川の水は一旦海洋に出て蒸気となり、雲となり、雨となり、雪に変じ、地上の山間部に戻ってきますが、水力発電はその水を効率的にエネルギーに変換するものです。水の「位置エネルギー(物体が「ある位置」にあることで物体にたくわえられるエネルギー)」を「運動エネルギー」に変換することによって、電気を取り出すのです。
小水力発電のメリット
- 身近な流水で発電できる。
- 太陽光や風力に比べ、天候の影響が少なく安定して電気を供給できる。
- 再生可能エネルギーのなかでは利用率が多く、経済的である。
小水力発電はこんなところでできる!
山間部では「一般河川」が有力な候補地点です。候補地点における集水面積を設定し、取水点と発電所の位置などを1/25,000 の地形図から検討することが可能です。
「砂防・治山ダム」「農業用水路」「ダムや既設発電所の放流水」など既設の構造物を利用すると、迅速に可能性を検討できる場合もあります。
発電計画の策定
発電計画の策定は、以下の一連の作業を基本的に検討していくことになります。
- その河川の取水、放水地点を選び、取水点の流量から発電に利用する最大取水量(最大使用量)を決める。
- その水量と取水、放水地点間落差の相乗積から発電力、発電電力量を求める。
- その一方、取水・導水・放水並びに電気設備等の設備に要する費用を求める。
- その発生する電力の経済性から開発の可否を判断、あるいは開発が可能となるよう種々の検討、工夫を加える一連の作業。
まずは「可能性調査」からはじめましょう!
発電計画は「可能性調査」「概略設計」「基本設計」「実施設計」と展開していきます。調査と設計を何度も繰り返しながら精度を上げていく根気のいる作業ですが、まずは可能性(フィジビリティ)をはかる「可能性調査」から一緒に始めましょう!